AFS-音波分子間力学測定装置

AFS (Acoustic force spectroscopy)は、一分子力学計測をハイスループットに行うことができる相互作用解析装置です。音波による粒子のマニピュレーションと粒子のリアルタイムトラッキング技術を応用し、分子間の相互作用を力学的に検出するので、蛍光などでラベルすることなく分子間・細胞間相互作用を解析することができます。

力学測定は粒子(ビーズや細胞)を捕捉する力をピコニュートンレベルで制御できるマイクロ流路技術と、ビーズのXYZ位置を光学像からリアルタイムにトラッキングする技術によって実現されています。

既存の原子間力顕微鏡(AFM)や光ピンセット(OT)による力学測定と大きく異なるのは、圧倒的に高いスループットにあります。400~2000個という多数のビーズを同時にトラッキングし、力学測定を並列に行うことができます。

原理:音波(超音波)による粒子のトラッピング

液中の粒子には、向かい合う音響波が作り出す定在波によって引力や斥力が働きます。流路内に定在波ができるようにマイクロ流路を設計すると、決まった位置にノード(節)を作り、粒子をノードに向かって引き上げることができます。

たとえば、DNAを介して底面に固定したビーズは節に向かって引き上げられます。この力は振動の振幅に依存し、pN(ピコニュートン)レベルで変化させることができます。これを利用して、力を段階的に変化させることで力学測定を行うことができます。


ビーズの3次元トラッキング

マイクロ流路の透過イメージ像から粒子が認識され、リアルタイムでXYZ位置がトラッキングされます。XY方向は透過イメージ像から、Z方向は粒子の周りの回折パターンから近似され、位置検出の分解能は、XY座標は2nm、Z座標は4nmに達します。トラッキングと近似はリアルタイムに行われ、最大400個までの粒子のXYZ座標を独立してトラッキング可能です。


ハイスループットな力学応答解析・相互作用解析

一分子計測 - フォースディスタンスカーブ

音波による力の印加と、トラッキングによるXYZ座標の取得により、多くの一分子計測を同時並行に行うことができます。 印加した力に応じた位置の変化から、力学応答としてフォースディスタンスカーブが得られます。DNAやRNAのストレッチングやタンパク質の巻き戻しなどの計測が可能です。


細胞表面の相互作用解析

AFSは生きている細胞表面の相互作用をラベルすることなしに直接測定できます。細胞-細胞間の評価やスクリーニングにも応用できます。

粒子表面で相互作用している分子に引き離す力を加えていくと、ある時点で破断します。これはラプチャーフォースと呼ばれます。分子間/細胞間の相互作用の大きさが、破断する直前までの力で評価できます。このラプチャーフォースの力の個数分布をとれば、その分子間相互作用を統計的に解析できます。


一体型フローセル

一分子計測のためのサンプル調製は、しばしば煩雑で、再現性を得るのに熟練度を必要とされることがあります。AFSのマイクロ流路は、繰り返し安定したデータを取得できるように設計が重ねられ、振動子やヒーターをチップ組み込んだスマートな一体型フローセルとなっています。簡単なサンプルの注入や安定なフローが生成でき、衝撃波や気泡の発生などを防ぎます。

流路内のガラスは繰り返し修飾と洗浄が可能で、そのためのプロトコルやノウハウも提供されます。標準セットには5チップ付属しているので、並行して行いたい実験にも対応できます。出荷時にチップ固有の共振周波数がチップ内のICに記録されているので、ユーザー側で周波数を探す必要はありません。


参考文献

スタンドアローンシステム

 

インテグレーションシステム

(倒立型顕微鏡に取付)

 

光学系

・Nikon CFI Achromat 10x, NA 0.30

・Nikon CFI Achromat 20x, NA 0.50

・Nikon CFI Achromat 40x, NA 0.65

(使用する顕微鏡の光学系を使用)
照明 685nm (LED)
Zステージ

対物レンズを駆動

・最小ステップ:50 nm

・可動範囲:5 mm

サンプルチップを駆動

・最小ステップ:50 nm

・可動範囲:5 mm

XYステージ

サンプルステージを駆動

・速度:0.5 mm/s

・最小ステップ:100 nm

(顕微鏡のステージを使用)

カメラ

USB 3.0 CMOS

1280 x 1024 px (1 px = 5.3μm sq.)

リフレッシュレート:最大視野で60 Hz

 

ワークステーション

解析ソフトウェア

 

 

 

 

 

AFSチップ

最大印加力

>200pN (Φ4.5μm シリカ粒子)

最小印加力ステップ

2 fN

負荷印加速度

0.1 fN/s ~ 1000pN/s (溶媒の粘性に依存)

自動印加力補正

粒子のブラウン運動のパワースペクトルから補正可能

Z方向力測定分解能

14bit

温度制御オプション 室温~40℃  (チップ内蔵ヒーターによる) 制御精度0.2℃

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z-mobi : 結合力の強い特異的な細胞のスクリーニング

AFSとポンプやソーティング機能を付加したz-mobiシステムにより、ターゲットとなる細胞やリガンドに対して結合力の強い細胞だけをスクリーニングできます。

まず、ターゲットとなる細胞やリガンドをマイクロフルイディクスチップのガラス表面に固定します。そこにスクリーニングしたい細胞群を流します。細胞がターゲットと接触した状態で制御された力を印加すると、非特異的な結合をしていた細胞は、音響波のノードに向かって引きはがされます。特異的な強い結合をした細胞だけが表面に残るので、さらに強い力で引きはがして回収できます。

詳しくは、Z-mobiパンフレットをご覧ください。


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