
ピエゾ抵抗自己検知型カンチレバー (QDM)
Quantum Design Microscoy製のピエゾ抵抗自己検知型(PRS, Piezo Resistive Self-sensing)カンチレバーは、カンチレバーの反りを電気的に直接測定することができるマイクロカンチレバーです。また、FEBIDによってプローブ先端を修飾した特殊プローブにより、MFMやcAFMといった測定が可能となります。
反りを直接検出できるので、リードアウトの回路は単純化でき、光てこ方式と比べて空間的な制限を受けないという特長があります。そのため、SEMやさまざまな装置との組み合わせが可能です。QD Microscopy AFSEM nanoを使えば、SEM内・真空チャンバー・グローブボックス内ですぐにAFM/SPMイメージングが可能です。
PRSは大気中や液中での測定も可能で、光に敏感なサンプルや、懸濁液中の測定など、光てこが適用できない系にも適用可能です。
ピエゾ抵抗自己検知型カンチレバー 特徴
ピエゾ抵抗センサ・ブリッジ回路・熱アクチュエーターが一体化

PRSカンチレバー先端には先端の曲率半径が15nm以下のプローブが形成されています。カンチレバー先端付近のヒーター部分に励振シグナルを入力することで、カンチレバーの熱励振が可能です。カンチレバーと基板の境界付近にあるのが反りセンサーで、材質はボロンをドープしたSiです。センサーはホイートストンブリッジ回路のR1, R2にあたり、固定抵抗R3,R4はセンサと同材質・同形状で反りの発生しない部分に配置されています。このホイートストンブリッジ回路により、熱ドリフト補償しつつ反りシグナルを高感度に検出できます。
イメージング用Siプローブカンチレバー

カンチレバー先端にSi製のプローブを有する、AFM用の標準PRSカンチレバーシリーズです。自己検知型のAFMイメージングにご利用いただけます。長さが300μmと115μmのカンチレバー(PRSA)には熱励振用のヒーターが組み込まれています。70μmのPRSの励振には外部の振動子が必要です。
チップはカンチレバー表面の回路と接続されたPCB(6 x 5 mm)基板として提供されます。この基板は専用のソケットに固定できるので、カンチレバーの交換も安全かつ容易に行うことができます。
イメージング用先鋭化ダイアモンドローブカンチレバー (SCD)

カンチレバー先端に先鋭化した単結晶ダイアモンド(SCD)プローブを有するSCDカンチレバーシリーズです。プローブの硬度が高く先鋭なまま長期間の使用に耐えられるため、ナノインデンテーション、スクラッチ、高いアスペクト比が必要なサンプルのイメージングに有効です。
また、SCDは表面エネルギーが小さいため、粘着性のサンプルや生体試料などをイメージングする際のコンタミネーションが抑えられます。
MFM用磁性プローブカンチレバー (MAG)
ナノスケールの磁区観察や磁性イメージングが可能なMFM用プローブを持つカンチレバーです。FEBIDでプローブの先端に磁性体を持ちつつ、先端の曲率半径は20nm以下なので高分解能の磁性イメージングが可能です。
cAFM用導電性プローブカンチレバー(CON)
プローブ先端の導電膜からのシグナルが得られる、導電性プローブカンチレバーです。AFSEM nanoはヘッドユニット内のアンプで電流値を増幅でき、低ノイズ・高感度なcAFMイメージングが可能です。
※SCLスターターキットでは導電性プローブは使用できません。
参考文献
- Semenenko, B. and Esquinazi, P.: Diamagnetism of Bulk Graphite Revised. Magnetochemistry 2018, 4, 52. [LINK]
- D. Yablon et al.: Cross-platform integration of AFM with SEM: Offering the best of both worlds. Microscopy and Analysis 31(2): p14-18 (2017) [PDF]
- Maja Dukic et al.:Piezoresistive AFM cantilevers surpassing standard optical beam deflection in low noise topography imaging. Scientific Reports 2015, 5:16393 [PDF]
- Anastasios Badarlis et al.: Measurement and Evaluation of the Gas Density and Viscosity of Pure Gases and Mixtures Using a Micro-Cantilever Beam. Sensors, 15(9), 24318-24342 (2015) [LINK]
- G.E. Fantner et al.: Use of self-actuating and self-sensing cantilevers for imaging biological samples in fluid. Nanotechnology 20 (2009) 434003 [PDF]
- G.E. Fantner et al., DMCMN: In Depth Characterization and Control of AFM Cantilevers With Integrated Sensing and Actuation. Journal of Dynamic Systems, Measurement, and Control NOVEMBER 2009, Vol. 131 / 061104-1 [LINK]
メーカーサイト
ピエゾ抵抗自己検知型カンチレバー 仕様
型番 | カンチレバー | プローブ | |||
共振周波数 kHz | 寸法 LW μm | 先端径 nm | 高さ μm | 材質 | |
標準Siプローブ | |||||
PRSA-L300- 50- STD |
30 – 95 | 300 x 108 | < 20 | 4 – 6 | Si |
PRSA-L115-400-STD | 250-850 | 115 x 54 | < 20 | 4 – 6 | Si |
PRS- L70-F900- STD | 350 – 1200 | 70 x 30 | < 20 | 4 – 7 | Si |
単結晶ダイアモンドプローブ | |||||
SCD-L300-50-STD | 30 – 95 | 300 x 108 | < 20 | 12 – 16 | SCD |
SCD-L115-400-STD | 250 – 750 | 115 x 54 | < 20 | 12 – 16 | SCD |
磁性プローブ (MFM等) | |||||
MAG-L300- 50-STD | 30 – 95 | 300 x 108 | < 20 | 4 – 6 | |
MAG-L115-400-STD | 250 – 800 | 115 x 54 | < 20 | 4 – 6 | |
導電性プローブ (cAFM等) | |||||
CON-L400-30-STD | 15 – 80 | 400 x 150 | < 20 | 4 – 6 | |
CON-L115-50-STD | 250 – 800 | 115 x 54 | < 20 | 4 – 6 |
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